台湾語のピンインは一つじゃない!?
台湾語の学習が難しい点の一つに「台湾語のピンインのスタンダードがいくつかある」ということが挙げられると思います。
(※ピンインとは発音記号をローマ字で表したものです)
ちなみに、中国語のピンインのスタンダードは現在基本的に1つしかありません。日本、中国、台湾や香港などどこで出版されていようが中国語の参考書で使用されているピンイン表記は全て1種類に統一されています。
一方、台湾語のピンインについては本当にじっくり調べないと何がなんだか分からないし、じゃあ分かったところでどのピンインを勉強したらいいのかすら決められない。本当に困ったものです。
いっそのこと、中国語のピンインが使われた台湾語の参考書で勉強してしまおうかと考えたほどです。(そのような参考書も台湾では売られています)

ただ、本格的に台湾語を勉強しようと思う人であれば、やはり中国語のピンインでは正しい発音の理解が困難になるので、台湾語のピンインで学ぶことをオススメしたいです。
台湾語のピンインの種類とは?
台湾語のピンインとは、中国語のピンインとは異なり、基本的には台湾が独自に開発したピンイン表記になりますので、中国語学習者の方にとっては紛らわしいのですが1から覚えていく覚悟で学習する必要があると思います(共通点もありますが…)。
台湾政府が公開している資料の中には下記のピンインが載っています。
※()は通称、緑文字は開発された時期(分かる範囲で)
- 教會羅馬字=白話字(POJ、教会ローマ字)1624〜
- 台語通用拼音(通用ピンイン)1998〜
- 臺灣語言音標方案(TLPA)1998〜
- 臺灣閩南語羅馬字拼音符號(TL)2006〜
- 国際音声記号(IPA)
- 台語注音(方音符號:TPS)
細かく言うともっとあるようですが、これだけでもすごい数です。
どのように違うのか、それぞれを比較した資料(教育部が公開しているPDF)がありますので、下記の表を参考にしてみてください。少し分かりにくいかもしれませんがご了承ください。

この表の一番左に書かれているのが臺灣閩南語羅馬字拼音符號(以下、TL)です。
それぞれわずかな差ではありますが、発音を覚えていく上では見逃せない差でもあります。
上に書かれた開発された時期を見ていただいたら分かると思いますが、一番最新のものがTLであり、TLは「POJ」と「TLPA」をもとに作られたとされています。
現在、台湾の教育部が推進しているのもTLでして、台湾で最近発行されている参考書はこちらのTLを採用しているものが多くなっており、先日ブログの記事にもしましたが、教育部が主催している台湾語検定も基本的にはTLで受けることになります。

逆に、一番歴史のあるものは「教会ローマ字」であり、19世紀にキリスト教の長老派教会(現在の台湾基督長老教会)に開発され、民間まで普及してきた発音表記です。現在でも、未だにこちらを使用している人も少なくないようです。
ちなみに、日本で出版されている台湾語の参考書でも多く採用されているのがなぜか「教会ローマ字」です。
国際音声記号(IPA)は「国際」という文字が付いているように、外国人に分かりやすい発音表記になっており、英語の発音記号に最も似ています。
なお、上の表には「台語注音(方音符號:TPS)」が入っていませんが、これは台湾で中国語を習う時の注音(ボポモフォ)を用いて発音を表したものになります。
下記の台湾教育部が公開している表を見れば分かると思います。

どのピンインを使って学ぶべきか?
ここからは個人的な意見になりますが、今から台湾語を勉強したいという方には、臺灣閩南語羅馬字拼音方案(TL)を使って学ぶのがオススメです。
なぜなら、台湾の教育部が「TL」を推進しているからです。
現在の台湾の小学校での台湾語教育においてもTLが使用されているし、最近の参考書はTLでの表記が多く、教育部が公開している台湾語学習サイトも専らTLが使われています。
台湾語検定を受けようと思う場合においても、学習過程においてTLが役立ちます。
ただ、前述のように、日本で台湾語を勉強する場合においては、日本で発行されている台湾語の参考書は「教会ローマ字」を使用されていますので、最初は「教会ローマ字」から入っても問題ないとは思います。TLとの差はさほど大きくないからです。
台湾人は台湾語のピンインを知らない?
ちなみに、台湾人はこれらの台湾語を知らない人が多いです。
現在の台湾の小学校では、台湾語を少し学ぶ機会があるようでピンインを使った参考書を用いるらしいのですが、僕と同じ年代(20代後半〜30代)以上の台湾人はまず台湾語の授業などなかったということで、当然台湾語のピンインも勉強したことがありません。
よって、僕が台湾人の友人にピンインを聞いても発音もできませんし、書くことすらできません。
よって、一般的な台湾人が、外国人に台湾語を教えるということは非常に難しいことなのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
結論としては、これから台湾語を勉強していきたいという人には臺灣閩南語羅馬字拼音方案(TL)をオススメしますという話でした。
以上、参考になれば幸いです!