台湾語

【おすすめ教材】中国語のピンインと四声で学ぶ台湾語『漢語拼音迷你台語』

台湾語の「発音表記」について

台湾語の発音を表すために、台湾語にはいくつかのピンイン表記(ローマ字表記)が存在します。

ちなみに、中国語で使用されているピンインもいくつかありますが、教育現場で今よく使われているものが中国でも台湾でも浸透しており、(乱暴に言ってしまえば)実質は1種類しかないようなものです。

ただ、台湾語のピンインは未だにどれをメインに使用するか定まっていないような気がします。いくつかの参考書を見る限り、「教会ローマ字」「通用ピンイン」「TLPA」などがあるようです。

下の台湾の教育部(日本の文科省に相当)が公開している台湾語の発音記号表を見てもそれが理解できます。
(※これらの発音表記に関しては別記事で書こうと思います)

つまり、ここで言いたいのは、中国語で使われるピンインと、台湾語で使われるピンインは、四声の表記も含めて(そもそも台湾語の声調は7つある)発音表記が異なるということです。

中国語のピンインと四声で台湾語を学ぶ?

そもそも、中国語と台湾語は発音も四声も大きく異なる言語なので、ピンインと四声が別にあるのは当然のことなのですが、それをなんと!台湾語を中国語のピンインと四声で学んでしまおうではないかという書籍があるのです!(台湾のみで販売)

『漢語拼音迷你台語』梁庭嘉著 統一出版社

中身を見てビックリ。

あら不思議、中国語のピンインと四声でうまく台湾語の発音を表現しています。

ただし、どうしても中国語のピンインで表記できない音はオリジナルの表記が使われています。(例:vou, ki 等)とは言え、中国語のピンインの知識があれば発音できるようになっています。

ちなみに書かれている漢字もできるだけ現代中国語(繁体字)が使用されており、中国語学習者にとってはその点においても非常に馴染みやすいと思います。逆に言えば台湾語の独特の漢字表記は学べず、台湾語の音しか学ぶことができません。

本の中身の構成としては、上の画像を見たら少し分かると思いますが、単語やキーワードがたくさん紹介されてあり、それを使った例文がひたすら書かれてあるだけです。特に文法の解説などはありません。

CDも付いてますので、ひたすら音声を聞いて、中国語のピンインと四声の発音表記を見ながら練習していくといったスタイルの参考書になっています。

台湾語を中国語のピンインと四声で学ぶメリットとデメリット

それでは、一見良さそうなこの方法を使って台湾語を学習するのは皆さんどのように思いますか?僕もこれについてメリットとデメリットを考えてみました。

◆メリット

・既に中国語のピンインと四声を習得している人にとってはイメージしやすい
・新たに台湾語のピンイン(「教会ローマ字」「通用ピンイン」)を覚える必要がない
・ゆえに比較的即効性がある

◆デメリット

・中国語のピンインと四声では台湾語の発音がカバーしきれず正しい発音を身に着けづらい。
・この方法が独特すぎて周りの人が理解できない
・この方法を使用した参考書がない(次項で解説)

この方法を使って台湾語の参考書はこの本だけ

個人的にアイディアは大好きです。

中国語学習者にとっては、非常にとっつきやすい学習方法の一つだと思います。
ただ残念なことに、この方法を使った台湾語の参考書がこの1冊しかないため、これだけでは台湾語が根本的に理解できないのが残念なところです。

少し台湾語ができればいい、という人にとってはいいかもしれませんが、しっかり台湾語を身に着けて台湾人のネイティブと台湾語でおしゃべりしたいという人には少しこの本だけでは力不足かなと思います。

まとめ

アイディアはいいし、気軽に勉強してみたい人にとってもとっつきやすい学習法だと思います。この本で短い台湾語フレーズを覚えて実践に実践を重ねていけば、もしかしたら台湾語が喋れるようになるかもしれません。

言葉が喋れるようになる上で一番大事なことは、結局のところ「実践」ですからね。

興味ある人は是非、台湾の書店(誠品書店などある程度大きめの書店)に行けば置いてあると思いますので、一度手にとってみてはいかがでしょうか。