下記のWikipediaからの引用文によると、今現在の台湾の公用語は『中国語(北京語)』となっている。
台湾の公用語は中国語(北京語)であり、国内では国語と呼ばれている。国語は中華人民共和国の公用語である普通話と基本的に同一言語であるが、現在では語彙などの細かい部分に多少の相違点が生じている。他にも日常生活では台湾語(ホーロー語、河洛話、福佬語)、場所によっては客家語、台湾原住民の諸言語が使用される。-wikipediaより
・台湾語はあくまでも「他にも〜」扱い。
実際に、台湾では中国語と台湾語の両方が使われているが、僕が4年間いた感覚では圧倒的に中国語が使われていることが多いと思う。(主に北部にいたからというのも理由だが、南部でもお店等公共の施設では中国語の方が多いと思う)
中国語と台湾語はどれくらい違うのか?
ここで言う「中国語」とは、中国本土で使用されている中国の標準語、いわゆる北京語であり、多くの日本人が勉強している中国語のことである。
正確に言うと、台湾の中国語と中国本土の中国語とでは、漢字(繁体字と簡体字)の違い、発音の違い、語彙や言い回しの違いはあるものの、その違いはそう大きいものではなく、お互い普通に「会話が成り立つ」レベルであり、大きなくくりで言えば両方とも「中国語」と言って全く問題ない。
一方、台湾語はというと、文法は中国語に近いし、発音がかなり違うとは言え、中国語の仲間であることは間違いないのだが、違いが大きすぎて中国本土の人も大部分は理解できないだろうし、僕もほとんど聞き取れない。日本語で言うと東京の標準語と青森の津軽弁くらいだろうか…
つまり台湾語は「聞き取れないレベルの中国語の方言」と言える。
台湾人が台湾語を喋れない??
これを知った時僕は衝撃を受けた。
すでにほとんど台湾語を喋れない台湾人が台湾にはわんさかいる。
特に北部の若い台湾人だ。僕が少し喋れる台湾語を台湾人の若い男の子に披露していると、
「おまえ、俺より台湾語うまいな」と言う。
それはさすがにジョークかもしれないが、彼は本当に喋れないらしい。
ここまで全く喋れないのも珍しいかもしれないが、多くの若い台湾人に「台湾語喋れる?」と聞くと、「聞き取りはなんとかできるけど、そんなに上手に話せない」という答えが返ってくる。これは北部の若者に多い。おそらく家庭環境が大きく影響していると思う。親が台湾語を使っているところは子も台湾語を問題なく使えるが、そうでないところは喋れなくなる。
それでは、台湾中南部はどうだろうか?
台湾中南部の人々は台湾語を喋る人口が多く、身内の間では台湾語ということが多い。むしろ中国語があまり喋れないというご年配の方も多い。(ご年配の方々に関しては北部南部関係なく中国語の教育を受けていないこともあり、中国語を喋れない人が多数いる)
台湾中南部の若者に関してはというと、台湾語も中国語も問題なくできる人が多いのだが、友達同士ではやはり中国語をメインに使っているように思う。(テレビなどによる影響か)
しかも北部の大学に行けば、彼らの喋る言葉は自動的に中国語になってしまう。
若者ほど「中国語」
もう一つ驚いた話がある。僕が台湾北部出身の若い子(北部にしては珍しく台湾語ペラペラ)に「台湾語話せるのになんで中国語使うの?」って聞いたら、「台湾語ってダサイもん!」と言うのだ。僕はその瞬間思った。
「あ、将来台湾語なくなるかも」って。
今まさに台湾語から中国語に切り替わっている真っ只中
60年前は中国語は台湾ではほとんど使われていなかった。
それが今では台湾の公用語となり、当時メインだった台湾語を喋れない若者がどんどん増えてきている。
今の親世代は台湾語を喋れる人が多いが、若者は喋れない… その若者が近ごろ親になる年齢になりつつある。両親が中国語しか喋れなければ子供も当然そうなる。
日本統治時代の日本語教育世代がほとんどいなくなって、台湾から日本語がほぼ消滅してしまったように、台湾語も近い将来消滅してしまうと僕は密かに予想している。それが何十年後なのか100年後なのかは分からないが、そう遠くない将来のことだと思う。
それに危機感を抱く台湾政府が「台湾語の教育を」と学校で台湾語の授業を行っているようだが、学校の授業でこの台湾語消滅の危機が抑えられるとは到底思えない。
以上の予想は僕の勝手なものなので「信じるかどうかはあなた次第」というような話なのだが、これに反対意見を持つ人がいれば是非話を聞いてみたい。
僕個人としても台湾語はなくなってほしくないのだから。